【コラム】歌手や俳優などの「実演家」にはどんな権利がある?【著作権法】

 著作物が多くの人に伝達される過程には、様々な人たちが関わることがあります。

 例えば音楽の場合、「作曲家」が曲を作って、「演奏者」がそれを演奏し、「制作会社」がそれを録音して、販売することによって、世に出ていきます。そして、「音楽番組」の放送局やラジオ局などが関わることによって、より多くの人たちに音楽が届けられています。

 著作物を使用する際には、著作者や著作権者だけでなく、このような方々の権利も侵害しないように気を付けなくてはなりません

 今回は、そんな著作物を人々に「伝達する人」のうち、歌手や俳優といった「実演家」に認められる著作権法上の権利について、ご紹介いたします。

実演せよ!

 「実演」とは、「著作物」を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、またはその他の方法により演ずることです。

 アイススケートショーのように観客向けに行われるショーは、実演に該当します。

 また、「著作物以外」を演じる場合であっても、上記に類する行為で、芸能的な性質を有するものも実演に該当します。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
 二 著作者 著作物を創作する者をいう。
 三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。
 四-二十五 (略)

2-9 (略)

保護を受ける実演

 上記の実演のうち、「著作権法の保護を受ける実演」は、次のどれかに該当するものです。

  • 日本国内で行われる実演
  • 保護を受けるレコードに固定された実演
  • 保護を受ける放送で送信される実演
  • 保護を受ける有線放送で送信される実演
  • 次の条約により我が国が保護の義務を負う実演
    • 実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(実演家等保護条約)
    • 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(実演・レコード条約)
    • 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)
    • 視聴覚的実演に関する北京条約
参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (保護を受ける実演)
第七条 実演は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける。
 一 国内において行われる実演
 二 次条第一号又は第二号に掲げるレコードに固定された実演
 三 第九条第一号又は第二号に掲げる放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 四 第九条の二各号に掲げる有線放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 五 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに掲げる実演
  イ 実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(以下「実演家等保護条約」という。)の締約国において行われる実演
  ロ 次条第三号に掲げるレコードに固定された実演
  ハ 第九条第三号に掲げる放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに掲げる実演
  イ 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(以下「実演・レコード条約」という。)の締約国において行われる実演
  ロ 次条第四号に掲げるレコードに固定された実演
 七 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに掲げる実演
  イ 世界貿易機関の加盟国において行われる実演
  ロ 次条第五号に掲げるレコードに固定された実演
  ハ 第九条第四号に掲げる放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 八 前各号に掲げるもののほか、視聴覚的実演に関する北京条約の締約国の国民又は当該締約国に常居所を有する者である実演家に係る実演

 

 著作権法では、次の方たちを「実演家」と定義しています。

俳優
舞踊家        
演奏家
歌手
その他実演を行う者および実演を指揮し、または演出する者
参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
 二 著作者 著作物を創作する者をいう。
 三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。
 四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。
 五-二十五 (略)

2-9 (略)

 実演家には、「実演家人格権」という次の2つの人格権が認められています。

氏名表示権
同一性保持権 
参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (氏名表示権)
第九十条の二 実演家は、その実演の公衆への提供又は提示に際し、その氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示し、又は実演家名を表示しないこととする権利を有する。
 実演を利用する者は、その実演家の別段の意思表示がない限り、その実演につき既に実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示することができる。
 実演家名の表示は、実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき又は公正な慣行に反しないと認められるときは、省略することができる。
 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
 一 行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演につき既にその実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示するとき。
 二 行政機関情報公開法第六条第二項の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演の実演家名の表示を省略することとなるとき。
 三 公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演につき既にその実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示するとき。
 (同一性保持権)
第九十条の三
 実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。
 前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。

 なお、実演家人格権は「一身専属の権利」とされており、譲渡することはできません。ですので、実演家が死亡すれば実演家人格権も消滅することとなります。


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (実演家人格権の一身専属性)
第百一条の二 実演家人格権は、実演家の一身に専属し、譲渡することができない
 (実演家の死後における人格的利益の保護)
第百一条の三 実演を公衆に提供し、又は提示する者は、その実演の実演家の死後においても、実演家が生存しているとしたならばその実演家人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該実演家の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

実演家の「氏名表示権」

 実演家の「氏名表示権」とは、 自分の実演を公衆に提供・提示するときに「実演家の氏名を表示するかどうか」や、氏名を表示する場合は、「実名(本名)を表示するか、芸名その他氏名に代えて用いられるものを表示するか」を決める権利のことです。

実演家人格権・著作者人格権 条文対照表【氏名表示権】

実演家人格権著作者人格権
 (氏名表示権)
第九十条の二 実演家は、その実演の公衆への提供又は提示に際し、その氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示し、又は実演家名を表示しないこととする権利を有する。
 実演を利用する者は、その実演家の別段の意思表示がない限り、その実演につき既に実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示することができる。
 実演家名の表示は、実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき又は公正な慣行に反しないと認められるときは、省略することができる。
 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
 一 行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演につき既にその実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示するとき。
 二 行政機関情報公開法第六条第二項の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演の実演家名の表示を省略することとなるとき。
 三 公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演につき既にその実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示するとき。
 (氏名表示権)
第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
 著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。
 著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。
 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
 一 行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。
 二 行政機関情報公開法第六条第二項の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物の著作者名の表示を省略することとなるとき。
 三 公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。

 「実演を公衆に提供・提示するとき」の例としては、次のような場合が考えられます。

演奏を録音したCDをCDショップなどで販売する場合
テレビ番組で手品を披露する場合

★他者の実演を利用するときの実演家名の表示について★

 他者の実演を利用する場合、その実演を利用する人は、その実演家の別段の意思表示がない限り、その実演について、既に実演家が表示しているところに従って実演家名を表示することができるものとされています。

つまり、実演家から別段の意思表示がなければ、従来の方法で氏名等を表示すればよく、わざわざ実演家に表示の方法を問い合わせる必要はありません

 また、実演家名の表示は、実演の利用の目的および態様に照らし、次のどちらかに該当する場合は、省略することができます

実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき
公正な慣行に反しないと認められるとき

例えば、飲食店でCDを使ってBGMを流す場合などが考えられます。

 「著作者」の氏名表示権の場合は、上記要件の「どちらにも」該当する必要があるのに対し、「実演家」の氏名表示権の場合は、「どちらかに」該当すれば足ります

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (氏名表示権)
第九十条の二 実演家は、その実演の公衆への提供又は提示に際し、その氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示し、又は実演家名を表示しないこととする権利を有する。
 実演を利用する者は、その実演家の別段の意思表示がない限り、その実演につき既に実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示することができる。
 実演家名の表示は、実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき又は公正な慣行に反しないと認められるときは、省略することができる。
 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
 一 行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演につき既にその実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示するとき。
 二 行政機関情報公開法第六条第二項の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演の実演家名の表示を省略することとなるとき。
 三 公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長が実演を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該実演につき既にその実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示するとき。

実演家の「同一性保持権」

 実演家の「同一性保持権」とは、自分の名誉や声望を害するような「実演」の変更、切除その他の改変を受けない権利です。

実演家人格権・著作者人格権 条文対照表【同一性保持権】

実演家人格権著作者人格権
 (同一性保持権)
第九十条の三
 実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。
 前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。
 (同一性保持権)
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
 一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
 二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
 三 特定の電子計算機においては実行し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において実行し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に実行し得るようにするために必要な改変
 四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変
参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 
 (同一性保持権)
第九十条の三
 実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。
 前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。

 

 「著作隣接権」とは、著作物を人々に「伝達した人」に与えられる禁止権(許諾権)です。

 著作隣接権は次の方々に付与されます。

実演家
レコード製作者
放送事業者         
有線放送事業者
参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
 二 著作者 著作物を創作する者をいう。
 三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。
 四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。
 五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
 六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。
 七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。
 七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
 八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。
 九 放送事業者 放送を業として行う者をいう。
 九の二 有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。
 九の三 有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。

 九の四-二十五 (略)

2-9 (略)

  (中略)

   第四章 著作隣接権
    第一節 総則
 (著作隣接権)
第八十九条 実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。
 レコード製作者は、第九十六条、第九十六条の二、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項に規定する権利並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
 放送事業者は、第九十八条から第百条までに規定する権利を享有する。
 有線放送事業者は、第百条の二から第百条の五までに規定する権利を享有する。
 前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
 第一項から第四項までの権利(実演家人格権並びに第一項及び第二項の報酬及び二次使用料を受ける権利を除く。)は、著作隣接権という。
 (著作者の権利と著作隣接権との関係)
第九十条 この章の規定は、著作者の権利に影響を及ぼすものと解釈してはならない。

 「著作隣接権」には、次の表に掲げる権利があります。

権 利 者権利の名称概  要
実 演 家録音権・録画権(第91条) 自分の実演を録音し、または録画する権利
放送権・有線放送権(第92条) 自分の実演を放送し、または有線放送する権利
送信可能化権(第92条の2) 自分の実演を、自動公衆送信装置(サーバーなど)に入力、蓄積することによって、受信者からのアクセスがあった際に、その受信者に送信され得る状態に置くことに関する権利
譲渡権(第95条の2) 自分の実演の録音物または録画物を公衆に譲渡する権利
貸与権等(第95条の3) 自分の実演が録音された市販用CDなどを、公衆に貸与する権利
レコード製作者複製権(第96条) レコードを複製(コピー)する権利
送信可能化権(第96条の2) レコードを、自動公衆送信装置(サーバーなど)に入力、蓄積することによって、受信者からのアクセスがあった際に、その受信者に送信され得る状態に置くことに関する権利
譲渡権(第97条の2) レコードを公衆向けに譲渡することに関する権利
貸与権等(第97条の3) レコード(市販用に限ります。)を、公衆向けに貸与することに関する権利
放送事業者複製権(第98条) テレビ・ラジオの放送を録音・録画したり、テレビの画像を撮影するなどの方法によって、複製する権利
再放送権・有線放送権(第99条) その放送を受信して、それを再放送したり、有線放送したりする権利
送信可能化権(第99条の2) その放送またはこれを受信して行う有線放送を受信して、インターネットなどで送信するために、自動公衆送信装置(サーバーなど)に入力、蓄積することによって、受信者からのアクセスがあった際に、その受信者に送信され得る状態に置くことに関する権利
テレビジョン放送の伝達権(第100条) そのテレビ放送またはこれを受信して行う有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置(超大型テレビやオーロラビジョンなど)を用いて、公衆に見せることに関する権利
有線放送事業者複製権(第100条の2) 有線放送を録音・録画したり、テレビの画像を撮影するなどの方法によって、複製する権利
放送権・再有線放送権(第100条の3) その有線放送を受信して、これを放送したり、再有線放送したりする権利
送信可能化権(第100条の4) その有線放送を受信して、インターネットなどで送信するために、自動公衆送信装置(サーバーなど)に入力、蓄積することによって、受信者からのアクセスがあった際に、その受信者に送信され得る状態に置くことに関する権利
有線テレビジョン放送の伝達権(第100条の5) その有線テレビ放送を受信して、影像を拡大する特別の装置(超大型テレビやオーロラビジョンなど)を用いて、公衆に見せることに関する権利

 著作権法上の「レコード」とは、レコード盤に限らず、CDやDVD、オルゴール、ハードディスクなど媒体を問わずに、音が固定されたものをいいます。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

   第二節 実演家の権利
  (中略)
 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。
 (放送権及び有線放送権)
第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 一 放送される実演を有線放送する場合
 二 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合
  イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演
  ロ 前条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの
 (送信可能化権)
第九十二条の二 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。
 一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの
 (放送等のための固定)
第九十三条 実演の放送について第九十二条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送及び放送同時配信等のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。
 次に掲げる者は、第九十一条第一項の録音又は録画を行つたものとみなす。
 一 前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送若しくは放送同時配信等の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者
 二 前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者又は放送同時配信等事業者で、これらを更に他の放送事業者又は放送同時配信等事業者の放送又は放送同時配信等のために提供したもの
 (放送のための固定物等による放送)
第九十三条の二 第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる。
 一 当該許諾を得た放送事業者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送
 二 当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送
 三 当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。)
 前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第九十二条第一項に規定する権利を有する者に支払わなければならない。
 (放送等のための固定物等による放送同時配信等)
第九十三条の三 第九十二条の二第一項に規定する権利(放送同時配信等に係るものに限る。以下この項及び第九十四条の三第一項において同じ。)を有する者(以下「特定実演家」という。)が放送事業者に対し、その実演の放送同時配信等(当該放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が放送番組の供給を受けて行うものを含む。)の許諾を行つたときは、契約に別段の定めがない限り、当該許諾を得た実演(当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該実演に係る特定実演家の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。)について、当該許諾に係る放送同時配信等のほか、次に掲げる放送同時配信等を行うことができる。
 一 当該許諾を得た放送事業者が当該実演について第九十三条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送同時配信等
 二 当該許諾を得た放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が当該放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送同時配信等
 前項の場合において、同項各号に掲げる放送同時配信等が行われたときは、当該放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の報酬を当該実演に係る特定実演家に支払わなければならない。
 前項の報酬を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該指定を受けた著作権等管理事業者(以下この条において「指定報酬管理事業者」という。)によつてのみ行使することができる。
 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える著作権等管理事業者でなければ、前項の規定による指定をしてはならない。
 一 営利を目的としないこと。
 二 その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
 三 その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
 四 第二項の報酬を受ける権利を有する者(次項及び第七項において「権利者」という。)のためにその権利を行使する業務を自ら的確に遂行するに足りる能力を有すること。
 指定報酬管理事業者は、権利者のために自己の名をもつてその権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。
 文化庁長官は、指定報酬管理事業者に対し、政令で定めるところにより、第二項の報酬に係る業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又はその業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。
 指定報酬管理事業者が第三項の規定により権利者のために請求することができる報酬の額は、毎年、指定報酬管理事業者と放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体との間において協議して定めるものとする。
 前項の協議が成立しないときは、その当事者は、政令で定めるところにより、同項の報酬の額について文化庁長官の裁定を求めることができる。
 第六十七条第七項(第一号に係る部分に限る。)及び第八項、第六十八条第三項、第七十条、第七十一条(第二号に係る部分に限る。)、第七十二条第一項、第七十三条本文並びに第七十四条第一項(第四号及び第五号に係る部分に限る。第十一項において同じ。)及び第二項の規定は、第二項の報酬及び前項の裁定について準用する。この場合において、第六十七条第七項中「申請者」とあり、及び第六十八条第三項中「著作権者」とあるのは「当事者」と、第六十七条第七項第一号中「第五項各号に掲げる事項及び当該裁定に係る著作物の利用につき定めた補償金の額」とあり、及び同条第八項中「その旨及び次に掲げる事項」とあるのは「その旨」と、第七十四条第二項中「著作権者」とあるのは「第九十三条の三第三項に規定する指定報酬管理事業者」と読み替えるものとする。
10 前項において準用する第七十二条第一項の訴えにおいては、訴えを提起する者が放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体であるときは指定報酬管理事業者を、指定報酬管理事業者であるときは放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体を、それぞれ被告としなければならない。
11 第九項において準用する第七十四条第一項及び第二項の規定による報酬の供託は、指定報酬管理事業者の所在地の最寄りの供託所にするものとする。この場合において、供託をした者は、速やかにその旨を指定報酬管理事業者に通知しなければならない。
12 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第七項の協議による定め及びこれに基づいてする行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合及び関連事業者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
13 第二項から前項までに定めるもののほか、第二項の報酬の支払及び指定報酬管理事業者に関し必要な事項は、政令で定める。
 (特定実演家と連絡することができない場合の放送同時配信等)
第九十四条 第九十三条の二第一項の規定により同項第一号に掲げる放送において実演が放送される場合において、当該放送を行う放送事業者又は当該放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者は、次に掲げる措置の全てを講じてもなお当該実演に係る特定実演家と連絡することができないときは、契約に別段の定めがない限り、その事情につき、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定したもの(以下この条において「指定補償金管理事業者」という。)の確認を受け、かつ、通常の使用料の額に相当する額の補償金であつて特定実演家に支払うべきものを指定補償金管理事業者に支払うことにより、放送事業者にあつては当該放送に用いる録音物又は録画物を用いて、放送同時配信等事業者にあつては当該放送に係る放送番組の供給を受けて、当該実演の放送同時配信等を行うことができる。
 一 当該特定実演家の連絡先を保有している場合には、当該連絡先に宛てて連絡を行うこと。
 二 著作権等管理事業者であつて実演について管理を行つているものに対し照会すること。
 三 前条第一項に規定する公表がされているかどうかを確認すること。
 四 放送同時配信等することを予定している放送番組の名称、当該特定実演家の氏名その他の文化庁長官が定める情報を文化庁長官が定める方法により公表すること。
 前項の確認を受けようとする放送事業者又は放送同時配信等事業者は、同項各号に掲げる措置の全てを適切に講じてもなお放送同時配信等しようとする実演に係る特定実演家と連絡することができないことを疎明する資料を指定補償金管理事業者に提出しなければならない。
 第一項の規定により補償金を受領した指定補償金管理事業者は、同項の規定により放送同時配信等された実演に係る特定実演家から請求があつた場合には、当該特定実演家に当該補償金を支払わなければならない。
 前条第四項の規定は第一項の規定による指定について、同条第五項から第十三項までの規定は第一項の補償金及び指定補償金管理事業者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第四号中「第二項の報酬を受ける権利を有する者(次項及び第七項において「権利者」という。)のためにその権利を行使する」とあるのは「次条第一項の確認及び同項の補償金に係る」と、同条第五項中「権利者」とあるのは「特定実演家」と、同条第六項中「第二項の報酬」とあるのは「次条第一項の確認及び同項の補償金」と、同条第七項中「第三項の規定により権利者のために請求することができる報酬」とあるのは「次条第一項の規定により受領する補償金」と読み替えるものとする。
 (放送される実演の有線放送)
第九十四条の二 有線放送事業者は、放送される実演を有線放送した場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。第九十五条第一項において同じ。)を受けない場合を除く。)には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限り、第九十二条第二項第二号に掲げるものを除く。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。
 (商業用レコードに録音されている実演の放送同時配信等)
第九十四条の三 放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て商業用レコード(送信可能化されたレコードを含む。次項、次条第一項、第九十六条の三第一項及び第二項並びに第九十七条第一項及び第三項において同じ。)に録音されている実演(当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該実演に係る特定実演家の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。)について放送同時配信等を行うことができる。
 前項の場合において、商業用レコードを用いて同項の実演の放送同時配信等を行つたときは、放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を当該実演に係る特定実演家に支払わなければならない。
 前項の補償金を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該著作権等管理事業者によつてのみ行使することができる。
 第九十三条の三第四項の規定は前項の規定による指定について、同条第五項から第十三項までの規定は第二項の補償金及び前項の規定による指定を受けた著作権等管理事業者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第四号中「第二項の報酬」とあるのは「第九十四条の三第二項の補償金」と、同条第七項及び第十項中「放送事業者」とあるのは「放送事業者、有線放送事業者」と読み替えるものとする。
 (商業用レコードの二次使用)
第九十五条 放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第六号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第四項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。
 前項の規定は、実演家等保護条約の締約国については、当該締約国であつて、実演家等保護条約第十六条1(a)(i)の規定に基づき実演家等保護条約第十二条の規定を適用しないこととしている国以外の国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家について適用する。
 第八条第一号に掲げるレコードについて実演家等保護条約の締約国により与えられる実演家等保護条約第十二条の規定による保護の期間が第一項の規定により実演家が保護を受ける期間より短いときは、当該締約国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家が同項の規定により保護を受ける期間は、第八条第一号に掲げるレコードについて当該締約国により与えられる実演家等保護条約第十二条の規定による保護の期間による。
 第一項の規定は、実演・レコード条約の締約国(実演家等保護条約の締約国を除く。)であつて、実演・レコード条約第十五条(3)の規定により留保を付している国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家については、当該留保の範囲に制限して適用する。
 第一項の二次使用料を受ける権利は、国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる。
 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ、前項の指定をしてはならない。
 一 営利を目的としないこと。
 二 その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
 三 その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
 四 第一項の二次使用料を受ける権利を有する者(以下この条において「権利者」という。)のためにその権利を行使する業務をみずから的確に遂行するに足りる能力を有すること。
 第五項の団体は、権利者から申込みがあつたときは、その者のためにその権利を行使することを拒んではならない。
 第五項の団体は、前項の申込みがあつたときは、権利者のために自己の名をもつてその権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。
 文化庁長官は、第五項の団体に対し、政令で定めるところにより、第一項の二次使用料に係る業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又はその業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。
10 第五項の団体が同項の規定により権利者のために請求することができる二次使用料の額は、毎年、当該団体と放送事業者等又はその団体との間において協議して定めるものとする。
11 前項の協議が成立しないときは、その当事者は、政令で定めるところにより、同項の二次使用料の額について文化庁長官の裁定を求めることができる。
12 第六十七条第七項(第一号に係る部分に限る。)及び第八項、第六十八条第三項、第七十条、第七十一条(第二号に係る部分に限る。)並びに第七十二条から第七十四条までの規定は、前項の裁定及び二次使用料について準用する。この場合において、第六十七条第七項中「申請者」とあり、及び第六十八条第三項中「著作権者」とあるのは「当事者」と、第六十七条第七項第一号中「第五項各号に掲げる事項及び当該裁定に係る著作物の利用につき定めた補償金の額」とあり、及び同条第八項中「その旨及び次に掲げる事項」とあるのは「その旨」と、第七十二条第二項中「著作物を利用する者」とあるのは「第九十五条第一項の放送事業者等」と、「著作権者」とあるのは「同条第五項の団体」と、第七十四条中「著作権者」とあるのは「第九十五条第五項の団体」と読み替えるものとする。
13 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、第十項の協議による定め及びこれに基づいてする行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合及び関連事業者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
14 第五項から前項までに定めるもののほか、第一項の二次使用料の支払及び第五項の団体に関し必要な事項は、政令で定める。
 (譲渡権)
第九十五条の二 実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。
 一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの
 第一項の規定は、実演(前項各号に掲げるものを除く。以下この条において同じ。)の録音物又は録画物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
 一 第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物
 二 第百三条において準用する第六十七条第一項又は第六十七条の三第一項の規定による裁定を受けて公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物
 三 第百三条において準用する第六十七条の二第一項の規定の適用を受けて公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物
 四 第一項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された実演の録音物又は録画物
 五 国外において、第一項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された実演の録音物又は録画物
 (貸与権等)
第九十五条の三 実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、最初に販売された日から起算して一月以上十二月を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコード(複製されているレコードのすべてが当該商業用レコードと同一であるものを含む。以下「期間経過商業用レコード」という。)の貸与による場合には、適用しない。
 商業用レコードの公衆への貸与を営業として行う者(以下「貸レコード業者」という。)は、期間経過商業用レコードの貸与により実演を公衆に提供した場合には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。
 第九十五条第五項から第十四項までの規定は、前項の報酬を受ける権利について準用する。この場合において、同条第十項中「放送事業者等」とあり、及び同条第十二項中「第九十五条第一項の放送事業者等」とあるのは、「第九十五条の三第三項の貸レコード業者」と読み替えるものとする。
 第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、前項において準用する第九十五条第五項の団体によつて行使することができる。
 第九十五条第七項から第十四項までの規定は、前項の場合について準用する。この場合においては、第四項後段の規定を準用する。
   第三節 レコード製作者の権利
 (複製権)
第九十六条 レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。
 (送信可能化権)
第九十六条の二 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。
 (商業用レコードの放送同時配信等)
第九十六条の三 放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、商業用レコード(当該商業用レコードに係る前条に規定する権利(放送同時配信等に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該商業用レコードに係る同条に規定する権利を有する者の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。次項において同じ。)を用いて放送同時配信等を行うことができる。
 前項の場合において、商業用レコードを用いて放送同時配信等を行つたときは、放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を当該商業用レコードに係る前条に規定する権利を有する者に支払わなければならない。
 前項の補償金を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該著作権等管理事業者によつてのみ行使することができる。
 第九十三条の三第四項の規定は前項の規定による指定について、同条第五項から第十三項までの規定は第二項の補償金及び前項の規定による指定を受けた著作権等管理事業者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第四号中「第二項の報酬」とあるのは「第九十六条の三第二項の補償金」と、同条第七項及び第十項中「放送事業者」とあるのは「放送事業者、有線放送事業者」と読み替えるものとする。
 (商業用レコードの二次使用)
第九十七条 放送事業者等は、商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、レコードに係る音の提示につき受ける対価をいう。)を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、そのレコード(第八条第一号から第四号までに掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。
 第九十五条第二項及び第四項の規定は、前項に規定するレコード製作者について準用し、同条第三項の規定は、前項の規定により保護を受ける期間について準用する。この場合において、同条第二項から第四項までの規定中「国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家」とあるのは「国民であるレコード製作者」と、同条第三項中「実演家が保護を受ける期間」とあるのは「レコード製作者が保護を受ける期間」と読み替えるものとする。
 第一項の二次使用料を受ける権利は、国内において商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる。
 第九十五条第六項から第十四項までの規定は、第一項の二次使用料及び前項の団体について準用する。
 (譲渡権)
第九十七条の二 レコード製作者は、そのレコードをその複製物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、レコードの複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
 一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡されたレコードの複製物
 二 第百三条において準用する第六十七条第一項又は第六十七条の三第一項の規定による裁定を受けて公衆に譲渡されたレコードの複製物
 三 第百三条において準用する第六十七条の二第一項の規定の適用を受けて公衆に譲渡されたレコードの複製物
 四 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡されたレコードの複製物
 五 国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡されたレコードの複製物
 (貸与権等)
第九十七条の三 レコード製作者は、そのレコードをそれが複製されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、期間経過商業用レコードの貸与による場合には、適用しない。
 貸レコード業者は、期間経過商業用レコードの貸与によりレコードを公衆に提供した場合には、当該レコード(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に相当な額の報酬を支払わなければならない。
 第九十七条第三項の規定は、前項の報酬を受ける権利の行使について準用する。
 第九十五条第六項から第十四項までの規定は、第三項の報酬及び前項において準用する第九十七条第三項に規定する団体について準用する。この場合においては、第九十五条の三第四項後段の規定を準用する。
 第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、第四項において準用する第九十七条第三項の団体によつて行使することができる。
 第五項の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、第五項中「第九十五条第六項」とあるのは、「第九十五条第七項」と読み替えるものとする。
   第四節 放送事業者の権利
 (複製権)
第九十八条 放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。
 (再放送権及び有線放送権)
第九十九条 放送事業者は、その放送を受信してこれを再放送し、又は有線放送する権利を専有する。
 前項の規定は、放送を受信して有線放送を行なう者が法令の規定により行なわなければならない有線放送については、適用しない。
 (送信可能化権)
第九十九条の二 放送事業者は、その放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して、その放送を送信可能化する権利を専有する。
 前項の規定は、放送を受信して自動公衆送信を行う者が法令の規定により行わなければならない自動公衆送信に係る送信可能化については、適用しない。
 (テレビジョン放送の伝達権)
第百条 放送事業者は、そのテレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利を専有する。
   第五節 有線放送事業者の権利
 (複製権)
第百条の二 有線放送事業者は、その有線放送を受信して、その有線放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。
 (放送権及び再有線放送権)
第百条の三 有線放送事業者は、その有線放送を受信してこれを放送し、又は再有線放送する権利を専有する。
 (送信可能化権)
第百条の四 有線放送事業者は、その有線放送を受信してこれを送信可能化する権利を専有する。
 (有線テレビジョン放送の伝達権)
第百条の五 有線放送事業者は、その有線テレビジョン放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその有線放送を公に伝達する権利を専有する。

 著作隣接権の存続期間は、次の表に示すとおりです。

存続期間が始まる時存続期間が満了する時
実演に関して その実演を行った時 その実演が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過した時
レコードに関して その音を最初にレコードに固定した時 その発行が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過した時
 ※その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して70年を経過する時までの間に発行されなかつたときは、その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して70年が経過した時
放送に関して その放送を行った時 その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過した時
有線放送に関して その有線放送を行つた時 その有線放送が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過した時

存続期間は、実演、発行、固定、放送、有線放送を行った年の「翌年の1月1日」から起算します。

 例:実演家が2026年8月21日に実演を行った場合、その実演を行った時から2096年12月31日まで、その実演に関して著作隣接権が存続する。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (実演、レコード、放送又は有線放送の保護期間)
第百一条 著作隣接権の存続期間は、次に掲げる時に始まる。
 一 実演に関しては、その実演を行つた時
 二 レコードに関しては、その音を最初に固定した時
 三 放送に関しては、その放送を行つた時
 四 有線放送に関しては、その有線放送を行つた時
 著作隣接権の存続期間は、次に掲げる時をもつて満了する。
 一 実演に関しては、その実演が行われた日の属する年の翌年から起算して七十年を経過した時
 二 レコードに関しては、その発行が行われた日の属する年の翌年から起算して七十年(その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して七十年を経過する時までの間に発行されなかつたときは、その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して七十年)を経過した時
 三 放送に関しては、その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した時
 四 有線放送に関しては、その有線放送が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した時

実演家の「録音権・録画権」

 実演家は、自分の実演を録音し、または録画する権利を専有します。

 録音権・録画権は、「生の実演」をCDやフィルムなどに録音・録画する場合に及ぶのはもちろんのこと、既に実演が録音・録画されたCDやフィルムなどをコピーする場合にも及びます

例えば、音楽CDをコピーする場合には、作詞家や作曲家などの「著作者」や音楽CDを作製した「レコード製作者」などの許可だけでなく、歌手やバンドなどの「実演家」の許可も原則必要になります。

 実演家の録音権・録画権には、著作権法第30条第1項(第4号を除きます。)の「私的使用のための複製」の規定が準用されています。


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。

【例外】許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演

 「録音権・録画権」を持つ人の許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演については、原則として、録音権・録画権が及びません

 つまり、録音権・録画権を持つ実演家が、自分の実演が映画の中に録音・録画されることを了解した場合、原則として、その実演を映画として二次利用する際に改めてその実演家の了解を得る必要はありません

「映画として二次利用する場合」とは、映画館で上映された映画を後日DVDにして販売するというような場合などが想定されています。

 例外の例外として、サントラ盤のように映画の著作物から「録音物」を作成する場合には、録音権・録画権が及びます

 「実演家」ではなく「録音権・録画権を持つ人」と表記しているのは、著作隣接権は譲渡することもできるため、必ずしも実演家=著作隣接権者となるわけではないからです。


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない

【例外】「放送等のための」録音・録画

 実演の放送について「放送権・有線放送権」を持つ人の許諾を得た「放送事業者」(有線放送事業者は含みません。)は、その実演を放送および放送同時配信等のために録音・録画することができます

つまり、放送事業者は、「録音権・録画権」と「放送権・有線放送権」を持つ実演家から、その放送する番組で実演を「放送すること」の許諾を得ていれば、別途、その実演家から「録音・録画すること」の許諾を得なくても、「その放送のために」その実演を録音・録画することができるということです。

 契約に別段の定めがある場合許諾された放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音・録画する場合放送番組をDVD化するような場合は、通常どおり「録音権・録画権」を持つ人の許諾が必要です。

 また、上記の許諾を得た放送事業者は、その実演の放送のために作成された録音物・録画物を使用して、再放送ネットワーク系列局での放送をすることができます

 この場合、放送事業者は相当な額の報酬(後述)を「放送権・有線放送権」を持つ人に支払わなければなりません。

 契約に別段の定めがある場合は、通常どおり「録音権・録画権」を持つ人の許諾が必要です。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (放送等のための固定)
第九十三条 実演の放送について第九十二条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送及び放送同時配信等のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない
 次に掲げる者は、第九十一条第一項の録音又は録画を行つたものとみなす。
 一 前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送若しくは放送同時配信等の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者
 二 前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者又は放送同時配信等事業者で、これらを更に他の放送事業者又は放送同時配信等事業者の放送又は放送同時配信等のために提供したもの
 (放送のための固定物等による放送)
第九十三条の二 第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる
 一 当該許諾を得た放送事業者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送
 二 当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送
 三 当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。)
 前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第九十二条第一項に規定する権利を有する者に支払わなければならない。

★「映画」と「放送番組」における実演家の権利処理の違い★

 このため、通常の実務では、実演家は、多くの場合、出演契約時において「録音・録画の了解」をするのと同時に、映画の二次利用を考慮した対価の条件を交渉しています。劇場用映画、Vシネマその他の映像作品については、おおむねこれに該当します。一方、放送事業者が製作した放送番組については、実演家が録音・録画を了解せずに放送されている場合があり(この場合、実演家は放送につき了解し、出演料は放送の対価のみとなります)、その場合には、放送番組の二次利用につき改めて実演家の了解を得る必要があります。これは、実演を放送することについて実演家の了解を得た放送事業者等は、その実演を放送等するために技術的に必要である場合、録音・録画についての了解を得なくても、その実演を固定(録音・録画)することができるという特別の規定が存在するからです。すなわち、放送局がこの特別な規定を用いて放送番組に「録音・録画」した実演については、実演家から未だ「録音・録画の了解」を得ていないために、その後の利用について、改めて実演家の了解を得ることが必要になります。このように「映画」と「放送番組」(局製作番組)とでは、「録音・録画の了解」の有無の違いから、その後の二次利用手続における実演家の権利処理に違いが生じます。「放送番組」においては、あらためて実演家の了解を得て二次利用を行い、二次利用で得た収益から実演家への対価を支払うのが通常の実務です

 なお、特別な規定を用いて固定された実演が円滑に二次利用されるためには、実演家がまとまって許諾を付与し使用料を受領する仕組みが必要です。このため、一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構(aRma)が、実演家に関する権利処理の窓口を一元化する取組を実施しています。

≪引用≫文化庁著作権課『著作権テキスト -令和8年度版-』(2026)27頁(外部サイト)

実演家の「放送権・有線放送権」

 実演家は、自分の実演を放送し、または有線放送する権利を専有します。

 放送権・有線放送権は、生の実演をテレビやラジオなどで放送・有線放送する場合に及びます。

 また、録音権・録画権を持つ人の許諾を得ないで録音・録画された実演を放送・有線放送する場合にも及びます。

録音権・録画権を持つ人の許諾を得て録音・録画された実演には、実演家の放送権・有線放送権は及びません


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。
 (放送権及び有線放送権)
第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない
 一 (略)
 二 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合
  イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演
  ロ (略)

放送される実演を「有線放送」する場合(有線放送による「同時再送信」をする場合)

 「放送される実演」を「有線放送」する場合には、実演家の放送権・有線放送権は適用されません

 よって、放送される実演を有線放送する場合は、実演家の許諾を得る必要はありません

放送「された」実演ではなく、放送「される」実演を有線放送する場合です。

つまり、過去の放送の再送信ではなく、「同時再送信」の場合に、実演家の放送権・有線放送権が及ばないこととなります。

 「放送番組」自体の有線放送権は、放送事業者が専有します。

 また、有線放送事業者は、放送される実演を有線放送した場合には、実演家に相当な額の報酬を支払わなければなりません(後述)。

ただし、その有線放送が非営利かつ無料で行われた場合や、その実演の著作隣接権の存続期間が満了している場合は、報酬を支払う義務は発生しません。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (放送権及び有線放送権)
第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない
 一 放送される実演を有線放送する場合
 二 (略)

  (中略)

 (放送される実演の有線放送)
第九十四条の二 有線放送事業者は、放送される実演を有線放送した場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。第九十五条第一項において同じ。)を受けない場合を除く。)には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限り、第九十二条第二項第二号に掲げるものを除く。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない
 
  (中略)

 (再放送権及び有線放送権)
第九十九条 放送事業者は、その放送を受信してこれを再放送し、又は有線放送する権利を専有する。 
 前項の規定は、放送を受信して有線放送を行なう者が法令の規定により行なわなければならない有線放送については、適用しない。

許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演

 「録音権・録画権」を持つ人の許諾を得て実演が録音・録画された「映画の著作物」DVD化したものなどを用いて放送・有線放送する場合などは、原則として、実演家の放送権・有線放送権が及びません

録音権・録画権を持つ人の許諾を得ないで映画の著作物に録音・録画された実演を用いて放送・有線放送する場合には、権利が及びます。

 サントラ盤のような映画の著作物から作成した「録音物」を使用して放送・有線放送する場合には、実演家の放送権・有線放送権が及びます


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。
 (放送権及び有線放送権)
第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない
 一 (略)
 二 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合
  イ (略)
  ロ 前条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

実演家の「送信可能化権

 実演家は、自分の実演をウェブサーバーなどの「自動公衆送信装置」入力、蓄積することによって、受信者からのアクセスがあった際に、その受信者に送信され得る状態に置くことに関する権利を専有します。

 「送信可能化」に該当する行為の具体例としては、次のようなものが挙げられます。

自動公衆送信装置に入力」する行為 「ウェブキャスト」「インターネット放送」などによって、生の実演を流す
自動公衆送信装置に「蓄積」する行為 「ウェブサーバー」に実演をアップロードする

上記のような行為をする際には、実演家の許諾が必要ということですね。

 実演家の送信可能化権は、「生の実演」を送信可能化する場合に及ぶのはもちろんのこと、録音・録画された実演を送信可能化する場合にも及びます

 ただし、「録音権・録画権」を持つ人の許諾を得て「録画」されている実演には、実演家の送信可能化権は及びません

 「録音」された実演を送信可能化する場合については、許諾の有無にかかわらず原則として実演家の送信可能化権が及びます

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一-九の三 (略)
 九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
 九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
  イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
  ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
 九の六-二十五 (略)
2-9 (略)

  (中略)

 (送信可能化権)
第九十二条の二 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない
 一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演

 「録音権・録画権」を持つ人の許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演を用いて送信可能化する場合には、原則として、実演家の送信可能化権が及びません

 例外として、サントラ盤のような映画の著作物から作成した「録音物」を使用して送信可能化する場合には、実演家の送信可能化権が及びます(「サントラ盤の作成」について、実演家の許諾があったかどうかにかかわりません。)。


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (送信可能化権)
第九十二条の二 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない
 一 (略)
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

実演家の「譲渡権

 実演家は、自分の実演をその録音物・録画物譲渡により公衆に提供する権利を専有します。

自分の演奏が録音されたCDを店頭で販売する場合などに及ぶ権利ですね。

 ただし、「録音権・録画権」を持つ人の許諾を得て「録画」されている実演には、実演家の譲渡権は及びません。

 「録音」された実演を譲渡する場合については、許諾の有無にかかわらず原則として実演家の譲渡権が及びます


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。
 
  (中略)

 (譲渡権)
第九十五条の二 実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。
 一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの
 (略)

譲渡権の「消尽」

 実演家の譲渡権は、一度適法に譲渡された録音物・録画物の譲渡には及びません

例えば、一度実演家によって販売された音楽CDには、その実演家の譲渡権が及ばなくなるため、そのCDを購入した人は、実演家の許諾なくそのCDを転売することができます

これを譲渡権の「消尽」といいます。

 「著作者」の譲渡権にも消尽の規定があります。


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (譲渡権)
第九十五条の二 実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
 (略)
 第一項の規定は、実演(前項各号に掲げるものを除く。以下この条において同じ。)の録音物又は録画物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない
 一 第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物
 二 第百三条において準用する第六十七条第一項又は第六十七条の三第一項の規定による裁定を受けて公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物
 三 第百三条において準用する第六十七条の二第一項の規定の適用を受けて公衆に譲渡された実演の録音物又は録画物
 四 第一項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された実演の録音物又は録画物
 五 国外において、第一項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された実演の録音物又は録画物

許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演

 「録音権・録画権」を持つ人の許諾を得て「映画の著作物」に録音・録画された実演を譲渡する場合には、原則として、実演家の譲渡権が及びません

 例外として、サントラ盤のような映画の著作物から作成した「録音物」を譲渡する場合には、実演家の譲渡権が及びます(「サントラ盤の作成」について、録音権・録画権を持つ人の許諾があったかどうかにかかわりません。)。


 著作権法 ※令和8年8月22日時点の条文です。
 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。
 
  (中略)

 (譲渡権)
第九十五条の二 実演家は、その実演をその録音物又は録画物の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない
 一 (略)
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの
 (略)

実演家の「貸与権」

 実演家は、自分の実演をその実演が録音された「市販用の」CDなど貸与により公衆に提供する権利を専有します。

 この実演家の貸与権は、最初に販売された日から起算して12か月を経過した市販用CDなどの貸与には及びません。ですが、それ以降の著作隣接権の存続期間について、実演家にCDレンタル店などに対する「報酬請求権」(後述)が認められます。

つまり、実演家は市販用CDなどの発売後1年間は、他人がそのCDなどを貸与することを禁止することができますが、それ以降は、禁止することができず、貸与に対する報酬の請求のみができることとなります。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法 

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一-四 (略)
 五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
 六 (略)
 七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。
 七の二-二十五 (略)
2-9 (略)
 
  (中略)

 (貸与権等)
第九十五条の三 実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、最初に販売された日から起算して一月以上十二月を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコード(複製されているレコードのすべてが当該商業用レコードと同一であるものを含む。以下「期間経過商業用レコード」という。)の貸与による場合には、適用しない
 商業用レコードの公衆への貸与を営業として行う者(以下「貸レコード業者」という。)は、期間経過商業用レコードの貸与により実演を公衆に提供した場合には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない
 (略)

 

 著作権法施行令(昭和45年政令第335号) ※令和8年8月21日時点の条文です。

 (貸与権の適用に係る期間)
第五十七条の二 法第九十五条の三第二項の政令で定める期間は、十二月とする。

 

 実演家は、自分の実演を他の人が利用する際に、「報酬」「補償金」「使用料」を請求することができる場合があります。

報酬請求権や使用料請求権などは、他の人が自分の実演を利用することを止められないという点で、著作隣接権より弱い権利といえます。

★実演家・レコード製作者の「レコード演奏・伝達権」の創設について

 「著作権法の一部を改正する法律」が,第221回特別国会において、令和8年6月17日に成立し、同年6月24日に令和8年法律第48号として公布されました。

 これは、アーティスト等への適切な対価還元を図るとともに、音楽の海外展開の促進に繋げるため、音楽 CD やインターネット配信音源等(商業用レコード等)が公の場で利用された際に、実演家・レコード製作者が二次使用料を受け取ることができる権利(「レコード演奏・伝達権」)を創設するものです。

 本法律による改正事項については公布日(令和8年6月24日)から3年を超えない範囲内で政令で定める日に施行されることとなっています。

≪引用≫文化庁『令和8年特別国会 著作権法改正について』(2026年8月22日アクセス)(外部サイト)

「放送のための録音物・録画物」による放送に対する「報酬」

 放送事業者は、「放送権・有線放送権」を持つ人がその実演の「放送」を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、その実演をその許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができます

その許諾を得た放送事業者が、「放送権・有線放送権」を持つ人の許諾を得て「放送および放送同時配信等のために」作成した録音物・録画物を使用してする放送
その許諾を得た放送事業者(キー局など)からその者(地方局など)が、「放送権・有線放送権」を持つ人の許諾を得て「放送および放送同時配信等のために」作成した録音物・録画物の提供を受けてする放送
その許諾を得た放送事業者からその許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除きます。)

 この場合、その実演について「放送権・有線放送権」持つ人は、放送事業者に対して、相当な額の「報酬」の支払いを請求することができます。

キー局から録音物・録画物の提供を受けて地方局が放送を行う場合も、報酬支払義務者はキー局となります。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法

 (放送権及び有線放送権)
第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 一 放送される実演を有線放送する場合
 二 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合
  イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演
  ロ 前条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

 (送信可能化権)
第九十二条の二 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。
 一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

 (放送等のための固定)
第九十三条 実演の放送について第九十二条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送及び放送同時配信等のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。
 次に掲げる者は、第九十一条第一項の録音又は録画を行つたものとみなす。
 一 前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送若しくは放送同時配信等の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者
 二 前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者又は放送同時配信等事業者で、これらを更に他の放送事業者又は放送同時配信等事業者の放送又は放送同時配信等のために提供したもの

 (放送のための固定物等による放送)
第九十三条の二 第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる
 一 当該許諾を得た放送事業者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送
 二 当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送
 三 当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。)
 前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第九十二条第一項に規定する権利を有する者に支払わなければならない

 

「放送のための録音物・録画物」による放送同時配信等に対する「使用料」

 放送事業者は、「放送同時配信等」に係る送信可能化権を持つ人がその実演の「放送同時配信等」を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、その許諾を得た実演(集中管理等がされていない実演に限られます。)について、その許諾に係る放送同時配信等のほか、次に掲げる放送同時配信等を行うことができます

その許諾を得た放送事業者が、その実演について 「放送権・有線放送権」を持つ人の許諾を得て「放送および放送同時配信等のために」作成した録音物・録画物を使用してする放送同時配信等
その許諾を得た放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が、その放送事業者からその許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送同時配信等

 この場合、その実演について放送同時配信等に係る送信可能化権を持つ人は、放送事業者または放送同時配信等事業者に対して、通常の使用料の額に相当する額の「報酬」の支払いを請求することができます。

「放送のための録音物・録画物」による放送同時配信等に対する使用料の請求権は、文化庁長官が指定するものがあるときは、その指定を受けた著作権等管理事業者を通じて行使されています。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法

 (放送権及び有線放送権)
第九十二条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 一 放送される実演を有線放送する場合
 二 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合
  イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演
  ロ 前条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

 (送信可能化権)
第九十二条の二 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。
 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。
 一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
 二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

 (放送等のための固定)
第九十三条 実演の放送について第九十二条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送及び放送同時配信等のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。
 次に掲げる者は、第九十一条第一項の録音又は録画を行つたものとみなす。
 一 前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送若しくは放送同時配信等の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者
 二 前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者又は放送同時配信等事業者で、これらを更に他の放送事業者又は放送同時配信等事業者の放送又は放送同時配信等のために提供したもの

 

  (中略)

 (放送等のための固定物等による放送同時配信等)
第九十三条の三 第九十二条の二第一項に規定する権利(放送同時配信等に係るものに限る。以下この項及び第九十四条の三第一項において同じ。)を有する者(以下「特定実演家」という。)が放送事業者に対し、その実演の放送同時配信等(当該放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が放送番組の供給を受けて行うものを含む。)の許諾を行つたときは、契約に別段の定めがない限り、当該許諾を得た実演(当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該実演に係る特定実演家の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。)について、当該許諾に係る放送同時配信等のほか、次に掲げる放送同時配信等を行うことができる。
 一 当該許諾を得た放送事業者が当該実演について第九十三条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送同時配信等
 二 当該許諾を得た放送事業者と密接な関係を有する放送同時配信等事業者が当該放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送同時配信等
 前項の場合において、同項各号に掲げる放送同時配信等が行われたときは、当該放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の報酬を当該実演に係る特定実演家に支払わなければならない
 前項の報酬を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該指定を受けた著作権等管理事業者(以下この条において「指定報酬管理事業者」という。)によつてのみ行使することができる。
 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える著作権等管理事業者でなければ、前項の規定による指定をしてはならない。
 一 営利を目的としないこと。
 二 その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
 三 その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
 四 第二項の報酬を受ける権利を有する者(次項及び第七項において「権利者」という。)のためにその権利を行使する業務を自ら的確に遂行するに足りる能力を有すること。
 指定報酬管理事業者は、権利者のために自己の名をもつてその権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。
 文化庁長官は、指定報酬管理事業者に対し、政令で定めるところにより、第二項の報酬に係る業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又はその業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。
 指定報酬管理事業者が第三項の規定により権利者のために請求することができる報酬の額は、毎年、指定報酬管理事業者と放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体との間において協議して定めるものとする。
 前項の協議が成立しないときは、その当事者は、政令で定めるところにより、同項の報酬の額について文化庁長官の裁定を求めることができる。
 第六十七条第七項(第一号に係る部分に限る。)及び第八項、第六十八条第三項、第七十条、第七十一条(第二号に係る部分に限る。)、第七十二条第一項、第七十三条本文並びに第七十四条第一項(第四号及び第五号に係る部分に限る。第十一項において同じ。)及び第二項の規定は、第二項の報酬及び前項の裁定について準用する。この場合において、第六十七条第七項中「申請者」とあり、及び第六十八条第三項中「著作権者」とあるのは「当事者」と、第六十七条第七項第一号中「第五項各号に掲げる事項及び当該裁定に係る著作物の利用につき定めた補償金の額」とあり、及び同条第八項中「その旨及び次に掲げる事項」とあるのは「その旨」と、第七十四条第二項中「著作権者」とあるのは「第九十三条の三第三項に規定する指定報酬管理事業者」と読み替えるものとする。
10 前項において準用する第七十二条第一項の訴えにおいては、訴えを提起する者が放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体であるときは指定報酬管理事業者を、指定報酬管理事業者であるときは放送事業者若しくは放送同時配信等事業者又はその団体を、それぞれ被告としなければならない。
11 第九項において準用する第七十四条第一項及び第二項の規定による報酬の供託は、指定報酬管理事業者の所在地の最寄りの供託所にするものとする。この場合において、供託をした者は、速やかにその旨を指定報酬管理事業者に通知しなければならない。
12 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第七項の協議による定め及びこれに基づいてする行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合及び関連事業者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
13 第二項から前項までに定めるもののほか、第二項の報酬の支払及び指定報酬管理事業者に関し必要な事項は、政令で定める。

 

放送「される」実演の有線放送に対する「報酬」

 有線放送事業者が、放送「される」実演を有線放送した場合には、その実演に係る実演家は、相当な額の「報酬」の支払いを請求することができます。

ただし、その有線放送が非営利かつ無料で行われた場合や、その実演の著作隣接権の存続期間が満了している場合は、報酬請求権は発生しません。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法

 (放送される実演の有線放送)
第九十四条の二 有線放送事業者は、放送される実演を有線放送した場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。第九十五条第一項において同じ。)を受けない場合を除く。)には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限り、第九十二条第二項第二号に掲げるものを除く。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない

 

 

「市販用CDなど」に録音されている実演の放送同時配信等に対する「補償金」

 放送事業者・有線放送事業者・放送同時配信等事業者は、録音権・録画権を持つ人の許諾を得て市販用のCDなどに録音されている実演について、放送同時配信等を行うことができます。

 この場合、その実演について「放送同時配信等に係る送信可能化権」を有する人は、その放送同時配信等を行った放送事業者などに対して「補償金」の支払いを請求することができます。

市販用CDなどの補償金請求権は、文化庁長官が著作権等管理事業者を指定している場合は、その事業者によってのみ行使できます。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一-四 (略)
 五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
 六 (略)
 七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。

 八-二十五 (略)

2-9 (略)

  (中略)

 

 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。

 

  (中略)

 

 (商業用レコードに録音されている実演の放送同時配信等)
第九十四条の三 放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て商業用レコード(送信可能化されたレコードを含む。次項、次条第一項、第九十六条の三第一項及び第二項並びに第九十七条第一項及び第三項において同じ。)に録音されている実演(当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利について著作権等管理事業者による管理が行われているもの又は文化庁長官が定める方法により当該実演に係る特定実演家の氏名若しくは名称、放送同時配信等の許諾の申込みを受け付けるための連絡先その他の円滑な許諾のために必要な情報であつて文化庁長官が定めるものの公表がされているものを除く。)について放送同時配信等を行うことができる
 前項の場合において、商業用レコードを用いて同項の実演の放送同時配信等を行つたときは、放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を当該実演に係る特定実演家に支払わなければならない
 前項の補償金を受ける権利は、著作権等管理事業者であつて全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該著作権等管理事業者によつてのみ行使することができる。
 第九十三条の三第四項の規定は前項の規定による指定について、同条第五項から第十三項までの規定は第二項の補償金及び前項の規定による指定を受けた著作権等管理事業者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項第四号中「第二項の報酬」とあるのは「第九十四条の三第二項の補償金」と、同条第七項及び第十項中「放送事業者」とあるのは「放送事業者、有線放送事業者」と読み替えるものとする。

 

「市販用CDなど」の「二次使用料」

 実演家は、「録音権」を持つ人が許諾した自分の実演が録音された市販用のCDなどを使用して「放送」「有線放送」が行われた場合、放送事業者や有線放送事業者に対して「二次使用料」を請求することができます。

市販用CDなどの二次使用料請求権は、文化庁長官が指定する団体(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会)を通じて行使されています。

 放送事業者・有線放送事業者が、非営利かつ無料で放送を受信して同時に有線放送を行った場合には、二次使用料請求権は発生しません。

 対象となる実演は、著作権法第7条第1号から第6号までに掲げる実演著作隣接権の存続期間内のものに限られます。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一-四 (略)
 五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
 六 (略)
 七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。

 八-二十五 (略)

2-9 (略)

 

  (中略)

 

 (保護を受ける実演)
第七条 実演は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける。
 一 国内において行われる実演
 二 次条第一号又は第二号に掲げるレコードに固定された実演
 三 第九条第一号又は第二号に掲げる放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 四 第九条の二各号に掲げる有線放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 五 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに掲げる実演
  イ 実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(以下「実演家等保護条約」という。)の締約国において行われる実演
  ロ 次条第三号に掲げるレコードに固定された実演
  ハ 第九条第三号に掲げる放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに掲げる実演
  イ 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(以下「実演・レコード条約」という。)の締約国において行われる実演
  ロ 次条第四号に掲げるレコードに固定された実演
 七 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに掲げる実演
  イ 世界貿易機関の加盟国において行われる実演
  ロ 次条第五号に掲げるレコードに固定された実演
  ハ 第九条第四号に掲げる放送において送信される実演(実演家の承諾を得て送信前に録音され、又は録画されているものを除く。)
 八 前各号に掲げるもののほか、視聴覚的実演に関する北京条約の締約国の国民又は当該締約国に常居所を有する者である実演家に係る実演

  (中略)

 

 (録音権及び録画権)
第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。

 

  (中略)

 (商業用レコードの二次使用)
第九十五条 放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第六号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第四項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない
 (略)
 第一項の二次使用料を受ける権利は、国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる
 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ、前項の指定をしてはならない。
 一 営利を目的としないこと。
 二 その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
 三 その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
 四 第一項の二次使用料を受ける権利を有する者(以下この条において「権利者」という。)のためにその権利を行使する業務をみずから的確に遂行するに足りる能力を有すること。
 第五項の団体は、権利者から申込みがあつたときは、その者のためにその権利を行使することを拒んではならない。
 第五項の団体は、前項の申込みがあつたときは、権利者のために自己の名をもつてその権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。
 文化庁長官は、第五項の団体に対し、政令で定めるところにより、第一項の二次使用料に係る業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又はその業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。
10 第五項の団体が同項の規定により権利者のために請求することができる二次使用料の額は、毎年、当該団体と放送事業者等又はその団体との間において協議して定めるものとする。
11 前項の協議が成立しないときは、その当事者は、政令で定めるところにより、同項の二次使用料の額について文化庁長官の裁定を求めることができる。
12 第六十七条第七項(第一号に係る部分に限る。)及び第八項、第六十八条第三項、第七十条、第七十一条(第二号に係る部分に限る。)並びに第七十二条から第七十四条までの規定は、前項の裁定及び二次使用料について準用する。この場合において、第六十七条第七項中「申請者」とあり、及び第六十八条第三項中「著作権者」とあるのは「当事者」と、第六十七条第七項第一号中「第五項各号に掲げる事項及び当該裁定に係る著作物の利用につき定めた補償金の額」とあり、及び同条第八項中「その旨及び次に掲げる事項」とあるのは「その旨」と、第七十二条第二項中「著作物を利用する者」とあるのは「第九十五条第一項の放送事業者等」と、「著作権者」とあるのは「同条第五項の団体」と、第七十四条中「著作権者」とあるのは「第九十五条第五項の団体」と読み替えるものとする。
13 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、第十項の協議による定め及びこれに基づいてする行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いる場合及び関連事業者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
14 第五項から前項までに定めるもののほか、第一項の二次使用料の支払及び第五項の団体に関し必要な事項は、政令で定める。

 

「市販用CDなど」の貸与に対する「報酬」

 実演家は、最初に販売された日から起算して12か月が経過し、自身の貸与権が及ばなくなった自分の実演が録音された市販用のCDなどを「貸与」しているCDレンタル店などに対してその対価として、相当額の「報酬」を請求することができます。

市販用CDなどの貸与に係る報酬請求権は、文化庁長官が指定する団体(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会)を通じて行使されています。

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法

 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一-四 (略)
 五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。
 六 (略)
 七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。

 八-二十五 (略)

2-9 (略)

  (中略)

 (貸与権等)
第九十五条の三 実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。
 前項の規定は、最初に販売された日から起算して一月以上十二月を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコード(複製されているレコードのすべてが当該商業用レコードと同一であるものを含む。以下「期間経過商業用レコード」という。)の貸与による場合には、適用しない。
 商業用レコードの公衆への貸与を営業として行う者(以下「貸レコード業者」という。)は、期間経過商業用レコードの貸与により実演を公衆に提供した場合には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない
 第九十五条第五項から第十四項までの規定は、前項の報酬を受ける権利について準用する。この場合において、同条第十項中「放送事業者等」とあり、及び同条第十二項中「第九十五条第一項の放送事業者等」とあるのは、「第九十五条の三第三項の貸レコード業者」と読み替えるものとする。
 第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、前項において準用する第九十五条第五項の団体によつて行使することができる。
 第九十五条第七項から第十四項までの規定は、前項の場合について準用する。この場合においては、第四項後段の規定を準用する。

 

 

 実演家の権利は自然に発生するものであり、権利の取得にはどのような手続も必要ありません。これを「無方式主義」といいます。

 無方式主義は、日本が加盟しているベルヌ条約にも規定されている国際的なルールでもあります。

「著作権」も同様に無方式主義が採用されております

参照条文 ※令和8年8月22日時点の条文です。

 著作権法

 (著作隣接権)
第八十九条 実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。
 レコード製作者は、第九十六条、第九十六条の二、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項に規定する権利並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
 放送事業者は、第九十八条から第百条までに規定する権利を享有する。
 有線放送事業者は、第百条の二から第百条の五までに規定する権利を享有する。
 前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない
 第一項から第四項までの権利(実演家人格権並びに第一項及び第二項の報酬及び二次使用料を受ける権利を除く。)は、著作隣接権という。



 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約 
第五条 〔保護の原則〕
 ⑴ 著作者は、この条約によつて保護される著作物に関し、その著作物の本国以外の同盟国において、その国の法令が自国民に現在与えており又は将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有する。
 ⑵ ⑴の権利の享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。その享有及び行使は、著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがつて、保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。
  (以下略)

 いかがだったでしょうか?

 今回は、実演家の権利について、ご紹介させていただきました。

 本コラムが、皆様の事業活動、創作活動の一助となれば幸いです。

 最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

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投稿者プロフィール

佐藤 千峰
職業:行政書士
経歴:平成30年4月から令和6年12月まで地方公務員として勤務。主に、住民税の賦課業務、例規および重要文書の審査業務などに従事。令和7年5月に行政書士事務所を開業
取扱業務:会社設立サポート、補助金申請サポート、著作権登録申請サポートなど
資格:行政書士、著作権相談員