【コラム】なぜ設立時に「株式会社」が勧められるのか。株式会社のメリット・デメリットについて

 会社を設立する際にいろいろ調べていると、「設立するなら株式会社が良い!」、「株式会社一択」などの意見をよく目にするかと思います。

 一般的に、株式会社を選ぶことで得られるメリットとしては、次のものが挙げられます。

株主(出資者)は出資した金額を超えて責任を負わない。
資金を集めやすく、大きな会社を作るのに適した形態である。
社会的信用を得やすい。

 こうしてみると確かに株式会社を選ぶメリットは大きいように感じます。

 ですが、こういった意見に触れても「自分の事業形態に関係あるのかな?」という疑問を抱く方も多いかと思います。

社長になりたい黒猫

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 そもそも「会社」には、どのような種類があるのでしょうか?

 会社法(平成17年法律第86号)では、次の4種類を「会社」と定めています。

株式会社
合名会社
合資会社
合同会社

 上記の4種類の会社のうち、株式会社以外の3つの会社(「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」)は、総称して「持分会社」といわれています。

ちなみに、街中でよく見かける「有限会社」は、有限会社法(昭和13年法律第74号)が既に廃止されているため、新しく設立することができません


 会社法 ※令和8年7月17日時点の条文です。
 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 会社 株式会社合名会社合資会社又は合同会社をいう。
 (以下略)

 それでは、株式会社を選んだ場合のメリットについて、一つずつ見ていきましょう。

株主(出資者)は出資した金額を超えて責任を負わない。

 株式会社の出資者である株主は、出資した株式の分だけ責任を持つ「有限責任」となっています。

会社が借金を返済できなかった場合、出資した分を取り戻すことができなくなってしまいますが、それ以上に負担をしなくてもよいことになるんですね。

 一方で持分会社の場合、出資者である「社員」の中に「無限責任」の社員がいることがあります。具体的には、合資会社は無限責任の社員だけで構成され、合名会社は無限責任の社員と有限責任の社員で構成されます。

このような理由から、大多数の方は、有限責任の社員のみで構成することができる株式会社や合同会社を選択しています

株式会社や合同会社でも、経営者が一人しかいないような小さな会社の場合、融資を受けるに当たって経営者が保証することを条件とされる場合もあります。

 会社の種類別に出資者の有限責任、無限責任の有無をまとめると次の表のようになります。

株式会社合同会社合資会社合名会社
有限責任
無限責任

 会社法 ※令和8年7月17日時点の条文です。
 (株主の責任)
第百四条 株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする

  (中略)

 (定款の記載又は記録事項)
第五百七十六条 持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
 一 目的
 二 商号
 三 本店の所在地
 四 社員の氏名又は名称及び住所
 五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
 六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
 設立しようとする持分会社が合名会社である場合には、前項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
 設立しようとする持分会社が合資会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

  (中略)

 (社員の責任)
第五百八十条 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
  当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
  当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。

資金を集めやすく、大きな会社を作るのに適した形態

 株式会社の場合、「株式」を発行して、それを買い取ってもらうという形で資金調達をすることができます。

 「株式」とは、株主の会社における地位権利のことです。


 会社法 ※令和8年7月15日時点の条文です。
 (株主の権利)
第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
 一 剰余金の配当を受ける権利
 二 残余財産の分配を受ける権利
 三 株主総会における議決権
 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。

 株式は、原則として自由に譲渡(売却)することができます

 また、株主は前述のとおり、出資した株式の分だけ責任を持つ「有限責任」となります。

 そして、株式会社には出資者が自ら経営をしなくてもよい「所有と経営の分離」という原則があります。

個人投資家の投資先として株式会社が人気なのも、こういった株式の仕組みがあるからなんですね。


 会社法 ※令和8年7月15日時点の条文です。
 (株式の譲渡)
第百二十七条 株主は、その有する株式を譲渡することができる。

 一方、持分会社において株式に当たるものが「持分」です。

株式の仕組みから、株式会社は持分会社と比べて多くの人から資金を集めやすいため、将来的に大きな会社を作りたいと考えている方に適した形態といえるんですね。


 会社法 ※令和8年7月17日時点の条文です。
 (持分の譲渡)
第五百八十五条 社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない
 前項の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。
 第六百三十七条の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは、その持分の譲渡による定款の変更は、業務を執行する社員の全員の同意によってすることができる。
 前三項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。

★「所有と経営の分離」とは★

 株式会社では、出資者である「株主」=経営者というわけではありません。株主総会で選任された役員が会社の経営を行い、株主は原則として重要な事項以外で経営に携わることはありません

 つまり会社法では、株式会社は会社の所有者と経営者が別々になることを前提として設計されているのです。

これを「所有と経営の分離」といいます。

 もっとも、株主が経営に当たってはいけないというルールはありませんので、株主が自らを役員として株主総会で選任するということも可能です。

株主一人だけで会社を経営する「一人会社」という形態も可能です。

 一方で持分会社は、出資者である「社員」が自ら経営を行うのが原則となります

社会的信用を得やすい。

 これは、株式会社の方が合同会社などの持分会社と比較して知名度が高いことに起因しています。

合同会社は、平成18年の会社法の改正により誕生した比較的新しい会社の種類のため、まだどのような会社か分からないという方も多いようです。

 また、株式会社は前述のとおり「所有と経営の分離」を前提とした設計となっていますので、取引先は株主による経営の監視体制が整っていることが期待できます。

 その他にも会社が決算の内容を公に知らせる「決算公告」が義務付けられていることなども、株式会社の方が社会的に信用されやすい背景となっています。

 ここまで、株式会社のメリットについて見てきました。

 それでは、逆に株式会社を選んだ場合のデメリットはあるのでしょうか?

ここからは、株式会社を選んだ場合にデメリットとなり得ることについて考えてみましょう。

設立や運営にかかる費用が高い。

設立にかかる費用の比較

 株式会社の設立にかかる主な費用は、次の表のとおりです。

件 名費 用
定款認証代① 資本金の額等が100万円未満であり、次のア、イ、ウの全てに該当する会社・・・15,000円

 ア その会社の定款に記載され、または記録された発起人の全員が自然人であり、かつ、その数が3人以下であること。
 イ その会社の定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載または記録があること。
 ウ その会社の定款に取締役会を置く旨の記載または記録がないこと。

② ①以外の、資本金の額等が100万円未満の会社・・・30,000円

③ 資本金の額等が100万円以上300万円未満の会社・・・40,000円

上記①、②、③以外の会社・・・50,000円
定款の印紙税40,000円(電子定款の場合は、0円)
定款謄本の請求手数料1ページにつき 250円
約2,000円程度かかるのが一般的です。
登録免許税資本金の額の0.7%
(計算結果が150,000円未満の場合は、1件につき150,000円)
おおよその総費用242,000円

 一方、持分会社の設立にかかる主な費用は、次の表のとおりです。

件 名費 用
定款認証代なし
定款の印紙税40,000円(電子定款の場合は、0円)
登録免許税合名会社、合資会社・・・1件につき60,000円
合同会社・・・資本金の額の0.7%(計算結果が60,000円未満の場合は、1件につき60,000円)
おおよその総費用100,000円

 このように、設立にかかる費用は、持分会社よりも株式会社の方が多額になります。

 また、株式会社の場合、定款の認証を受けることが必要となりますので、手続の面でも持分会社よりやや面倒といえるでしょう。

上記のほかにも、司法書士さんや行政書士へ設立手続のご依頼をされた場合の報酬額や会社の印鑑の作成にかかる費用など個別に追加で費用がかかることもあります。

  参考:12 手数料 | 日本公証人連合会(外部サイト)

     No.7191 登録免許税の税額表|国税庁(外部サイト)

★認定特定創業支援等事業を受けて登録免許税を半額に★

 会社を設立する際には、会社の商業登記を行う必要があります。

 株式会社や合同会社の設立にかかる商業登記を行う際には、設立する会社の資本金に応じて、前述のとおり、「登録免許税」が課されるのですが、「認定特定創業支援等事業」の支援を受けて創業を行おうとする方または創業した日以後5年を経過していない個人が会社を設立する際、この登録免許税の軽減を受けることができます

 具体的には、次の表のとおりです。

会社の種類通常の登録免許税軽減後の登録免許税
株式会社資本金の額の0.7%
(150,000円未満の場合は、申請件数1件につき150,000円)
資本金の額の0.35%
(75,000円未満の場合は、申請件数1件につき75,000円)
合同会社資本金の額の0.7%
(60,000円未満の場合は、申請件数1件につき60,000円)
資本金の額の0.35%
(30,000円未満の場合は、申請件数1件につき30,000円)

株式会社、合同会社ともに登録免許税が半額になるんですね!

 「認定特定創業支援等事業」の概要や、受けることによって得られるその他のメリットにつきましては、以下のリンク先にまとめておりますので、ぜひご確認ください。

  【コラム】「認定特定創業支援等事業」ってどんな制度??創業者が必ず受けるべき理由とは??

運営にかかる費用の差

 株式会社には、取締役、会計参与、監査役などの「役員」がおり、それぞれ任期があります

会社法 ※令和8年7月17日時点の条文です。

 (選任)
第三百二十九条 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2・3 (略)

  (中略)

 (取締役の任期)
第三百三十二条 取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
 前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない
 監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員であるものを除く。)についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
 監査等委員である取締役の任期については、第一項ただし書の規定は、適用しない。
 第一項本文の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査等委員である取締役の補欠として選任された監査等委員である取締役の任期を退任した監査等委員である取締役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
 指名委員会等設置会社の取締役についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
 前各項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
 一 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
 二 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
 三 その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社がするものを除く。)

 役員の任期が終了し、新しい役員が就任すると、役員の変更について登記をする必要があります。役員の任期が満了した後、間を置かずに同じ人が役員に選任(再任)した場合も、任期満了により退任した役員が再び就任するということになりますので、役員変更の登記をする必要があります。

例えば、取締役の任期は原則として2年となっていますので、2年ごとに取締役の変更に係る手続が発生します

  参考:法務省:役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です(外部サイト)

会社法 ※令和8年7月17日時点の条文です。

 (株式会社の設立の登記)
第九百十一条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
 一・二 (略)
 (略)
 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
 一-十二 (略)
 十三 取締役(監査等委員会設置会社の取締役を除く。)の氏名
 十四 代表取締役の氏名及び住所(第二十三号に規定する場合を除く。)
 十五 取締役会設置会社であるときは、その旨
 十六 会計参与設置会社であるときは、その旨並びに会計参与の氏名又は名称及び第三百七十八条第一項の場所
 十七 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び次に掲げる事項
  イ 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときは、その旨
  ロ 監査役の氏名
 十八 監査役会設置会社であるときは、その旨及び監査役のうち社外監査役であるものについて社外監査役である旨
 十九 会計監査人設置会社であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称
 二十 第三百四十六条第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名又は名称
 二十一 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがあるときは、次に掲げる事項
  イ 第三百七十三条第一項の規定による特別取締役による議決の定めがある旨
  ロ 特別取締役の氏名
  ハ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
 二十二 監査等委員会設置会社であるときは、その旨及び次に掲げる事項
  イ 監査等委員である取締役及びそれ以外の取締役の氏名
  ロ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
  ハ 第三百九十九条の十三第六項の規定による重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがあるときは、その旨
 二十三 指名委員会等設置会社であるときは、その旨及び次に掲げる事項
  イ 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨
  ロ 各委員会の委員及び執行役の氏名
  ハ 代表執行役の氏名及び住所
 (変更の登記)
第九百十五条 会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
 前項の規定にかかわらず、第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合における株式の発行による変更の登記は、当該期間の末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる事由による変更の登記は、毎月末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
 一 新株予約権の行使
 二 第百六十六条第一項の規定による請求(株式の内容として第百七条第二項第二号ハ若しくはニ又は第百八条第二項第五号ロに掲げる事項についての定めがある場合に限る。)

 また、役員の変更登記には、登録免許税が1件につき3万円(資本金1億円以下の会社の場合は1万円)かかります。

株式会社の場合、定期的に登記手続とそれに係る費用が発生するんですね。

 一方、持分会社の役員には任期がありませんので、株式会社のように定期的に役員の変更登記に係る費用が発生することはありません。

持分会社の役員には任期がありませんが、代表社員や業務執行社員に変更があった場合は、登記をしなくてはなりません。

会社法 ※令和8年7月17日時点の条文です。

 (合名会社の設立の登記)
第九百十二条 合名会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
 一-四 (略)
 五 社員の氏名又は名称及び住所
 六 合名会社を代表する社員の氏名又は名称(合名会社を代表しない社員がある場合に限る。)
 七 合名会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
 八-十 (略)
 (合資会社の設立の登記)
第九百十三条 合資会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
 一-四 (略)
 五 社員の氏名又は名称及び住所
 六・七 (略)
 八 合資会社を代表する社員の氏名又は名称(合資会社を代表しない社員がある場合に限る。)
 九 合資会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
 十-十二 (略)
 (合同会社の設立の登記)
第九百十四条 合同会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
 一-五 (略)
 六 合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称
 七 合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所
 八 合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
 九-十一 (略)

  (中略)


 (変更の登記)
第九百十五条 会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
 前項の規定にかかわらず、第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合における株式の発行による変更の登記は、当該期間の末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる事由による変更の登記は、毎月末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
 一 新株予約権の行使
 二 第百六十六条第一項の規定による請求(株式の内容として第百七条第二項第二号ハ若しくはニ又は第百八条第二項第五号ロに掲げる事項についての定めがある場合に限る。)

重要事項の決定に時間がかかる。

 前述のとおり、株式会社では株主総会で選任された役員が会社の経営を行い、株主は原則として重要な事項以外で経営に携わることはありません

 言い換えると「重要な意思決定」については、株主が集まってする必要があるため、機動性に欠けた組織運営となります。

株主が集まって重要な事項を決定する場を「株主総会」といいます。


 会社法 ※令和8年7月16日時点の条文です。
 (株主総会の権限)
第二百九十五条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる
 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
 この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

 一方で、持分会社の場合は、株主総会を開くことがありませんので、経営者だけで迅速に重要事項を決定することができます

 この点で、持分会社の方が株式会社よりも柔軟な組織運営が可能といえるでしょう。

このような特徴から、持分会社は、少人数が集まって運営する会社に向いている形態といえます。

 ここまで、株式会社を選んだ場合の主なメリットやデメリットについて見てきましたが、結局、「株式会社」と「持分会社」のどちらを選べばよいのか分からなかったという方も多いかと思います。

 ある面では株式会社の方が優れていることもあるし、また別の面では持分会社の方が有利になることもありますので、どちらが合っているかはケースバイケースなのです。

インターネット上に流れている情報は、飽くまで一般論と捉えていただいた方が良いかと思います。

 ですので、「こっちの会社形態の方が絶対に良い!」と断言することはできないのですが、以下にそれぞれの会社形態が向いている方の例をお示しいたします。

 飽くまで一つの目安としてお使いいただけると幸いです。

株式会社持分会社
規模の大きい会社を作りたい方
社会的信用に重点を置いている方
資金調達を積極的に行いたい方
信頼できる少人数で経営したい方
設立・運営の費用を抑えたい方
資金調達を必要としない方

 いかがだったでしょうか?

 今回は、株式会社を選んだ場合のメリットデメリットについて、少し深堀してご紹介いたしました。

 本コラムのポイントは、次のとおりです。

 最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

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行政書士 佐藤 千峰

投稿者プロフィール

佐藤 千峰
職業:行政書士
経歴:平成30年4月から令和6年12月まで地方公務員として勤務。主に、住民税の賦課業務、例規および重要文書の審査業務などに従事。令和7年5月に行政書士事務所を開業
取扱業務:会社設立サポート、補助金申請サポート、著作権登録申請サポートなど
資格:行政書士、著作権相談員