【コラム】仕事で作った著作物の権利は、会社のもの??従業員のもの??「職務著作」について

 自社の商品をPRするための写真や、取引先に自社のサービスをプレゼンするための資料、最近だと、SNSにアップロードする動画などなど……。会社に勤めていると、職務上、様々な著作物を作成する機会がありますよね。

 このような著作物の権利は、会社にあるのか……?はたまた作成した自分のものなのか……?気になったことはありませんか??

 著作権法(昭和45年法律第48号)では、このように会社からの指示で行う著作物の作成について、一定の要件を満たすことで、会社が著作者となる、いわゆる「職務著作(法人著作ともいいます。)」というものが定められています。

 今回は、この「職務著作」について、制度の趣旨どのような場合に該当するのかをご紹介いたします。

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 そもそも「著作者」とは、どのような人をいうのでしょうか?

 著作権法では、「著作者」とは、「著作物を創作する者」と定義しています。

著作者人格権と著作権の取得には、どのような手続も必要ありません(著作権法第17条第2項)。これを「無方式主義」といいます。


 
 著作権法 ※令和8年4月3日時点の条文です。
 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 (略)
 二 著作者 著作物を創作する者をいう。
 三-二十五 (略)
2-6 (略)
   (中略)

 (著作者の権利)
第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。

★「著作者」と「著作権者」★

 前述の二つの権利のうち、著作者人格権は、著作者の一身専属の権利ですので、他の人や他の会社などに権利が移動することはありません。

 一方で、著作権は、著作権法において、その全部または一部を譲渡することができるものとされています。

その著作物によっては、必ずしも「著作者=著作権者」であるとは限らないので、誰にどのような権利が残っているのか慎重に確認する必要があります。


 
 著作権法 ※令和8年4月3日時点の条文です。
 (著作者人格権の一身専属性)
第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない

   (中略)

 (著作権の譲渡)
第六十一条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる
 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

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 原則として、著作者は、その著作物を実際に作成した個人がなります。

 ですが、会社や使用者など(以下「会社等」といいます。)の指示で作成した著作物は、その会社等がその著作物に関する責任を負い、その会社等として対外的な信頼を得ているという場合が多いのが現実です。

法人格を有しない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものも職務著作の著作者となり得ます。



 著作権法 ※令和8年4月3日時点の条文です。
 (定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
2-5 (略)
 この法律にいう「法人」には、法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含むものとする。

   (中略)

 (職務上作成する著作物の著作者)
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

「職務著作」に該当する要件

一般的な著作物を作成した場合

 会社等の従業員が著作物(「プログラムの著作物」を除きます。)を作成したとき、次の四つの要件を満たした場合、職務著作となります。

会社等の発意に基づいて著作物を作成する場合
その会社等の業務に従事する方が、職務上作成する場合
その会社等がその会社等自身の名義の下に公表する場合
その著作物の作成時における勤務規則その他に別段の定めがない場合

後述の「プログラムの著作物」と差別化するため、「一般的な著作物」という表現を使わせていただきました。以下本コラムにおいて同じです。

プログラムの著作物を作成した場合

 つまり、プログラムの著作物については、公表する際の名義や公表の有無を問わないため、たとえ公表されないものであったり、従業員個人の名義で公表されたものであったりしても、他の要件を満たすことで、職務著作となります

プログラムには、会社内部などの限られた場所でしか使われず、公表を予定していないものも多々あること、複数の人間により、頻繁に修正や変更が行われるものであり、誰がどの部分を作ったのか不明になりやすいことといった性質がありますので、このような要件が除かれているようです。

 その他の要件は、以下のとおり一般的な著作物と同様です。

会社等の発意に基づいて著作物を作成する場合
その会社等の業務に従事する方が、職務上作成する場合
その著作物の作成時における勤務規則その他に別段の定めがない場合

会社等の「発意に基づいて」とは

 会社等の「発意に基づいて」とは、会社等の直接または間接の判断により、著作物を作成するということです。

 会社等と正式な雇用関係がある従業員の場合には、会社等から直接、著作物の作成を指示された場合だけでなく、そのような指示がなくても、会社等の業務計画に従った所定の職務の遂行上、その著作物の作成が予定される場合も含まれるものとされています。

★著作物の創作を他社に依頼した場合は??★

 著作者とは「著作物を創作する者」のことであるため、著作物の創作を他人や他社に委託(発注)した場合は、料金を支払ったかどうか等にかかわりなく、実際に著作物を創作した「受注者側」が著作者となります。このため、発注者側が納品後にその著作物を利用(例:自社のコピー機による増刷など)するためには、そのための契約をあらかじめ交わしておくことが必要になります。

≪引用≫文化庁著作権課『著作権テキスト(令和6年度版)』8頁(外部サイト)

会社等の名義の下に「公表する」場合について

 この要件に該当する場合としては、既に会社等の名義で著作物を公表したケースがイメージしやすいかと思います。

 ですが、それに限らず、これから会社等の名義で公表することを予定しているものも対象としています

 例えば、会社等の広報に活用するために複数の写真を撮った場合、実際に使用された写真が、そのうちの1枚であり、その他の写真は掲載されなかったとしても、その他の写真についても、会社等の著作名義で公表することが当然に予定され、その意図で作成されているものですので、職務著作に該当します。

著作権法の規定を見ると「公表したもの」ではなく、「公表するもの」と表記されています。


 
 著作権法 ※令和8年4月3日時点の条文です。
 (職務上作成する著作物の著作者)
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

勤務規則その他に別段の定めがないこと」について

 他の要件に該当する場合であっても、著作物の作成時点において、その著作物を作成した従業員個人のものとする趣旨の別段の定めが、勤務規則契約などにあれば、その定めに従い、その従業員が著作者になります。

なんでもかんでも一律に職務著作となるわけではなく、会社等と従業員との間で、柔軟な取り決めが可能となっているんですね。

 いかがだったでしょうか?

 今回は、「職務著作」について、制度の趣旨該当要件をご紹介いたしました。

 本コラムのポイントは、次のとおりです。

 最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

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行政書士 佐藤 千峰

投稿者プロフィール

佐藤 千峰
職業:行政書士
経歴:平成30年4月から令和6年12月まで地方公務員として勤務。主に、住民税の賦課業務、例規および重要文書の審査業務などに従事。令和7年5月に行政書士事務所を開業
取扱業務:会社設立サポート、補助金申請サポート、著作権登録申請サポートなど
資格:行政書士、著作権相談員